南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

クリスマス タイム イン オキナワ


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沖縄での初めての年末を過ごしています。

那覇市のゆいレール県庁前駅は、国際通りの入口に当たります。その県庁前駅と直結するリューボウデパート前には、クリスマスツリーが小さな光を纏っていて、暖かな沖縄にもクリスマスムードを醸し出しています。

 

そんなムードと裏腹に、沖縄の12月は本当に暖かい。12月17日には最高気温が27度を超えてしまいました!夏日ですよ。常夏ってこの事なのかしらん?

 

クリスマスイブの24日は23度、25日には25度を超えてしまい、ホワイトクリスマスなど当然望める筈もありません。

 

そんな日の昼下がりに街を歩いていると、サンタのコスチュームに身を包んだ若い男が通行人にチラシを配っているのが見えました。この時間の裏通りは人通りもまばらで、広告サンタの手にしたチラシの束は消化不良の様子です。そんなサンタとぼくは目が合ってしまい、彼の白い髭の上のくりくりした目が、ぼくをターゲットと定めたのを見てとりました。

 

「ふおーっ、ふおーっ、ふおーっ!」

突然、広告サンタの若い男が大きな声で言いました。こんな「ふおーっ、ふおーっ、ふおーっ!」は、バルタン星人以外は(バルタン星人分かりますよね?)発しないだろうと言う感じのものでしたよ。

 

ああ、これはサンタクロースのおじいさん風に笑っているのだと理解するのに少し時間がかかりました。ぼくが、たじろいでいると「メリーーー、クリーースマーース!」と、微笑みながらチラシを持った手を伸ばしてきます。ぼくは少し恥ずかしくなりながらチラシを受け取りました。受け取るしかないじゃないですか。この通りにはサンタとぼくしかいないのですから。罪のない満面の笑みのサンタを、置き去りにはできません。

 

 そんなぼくに向かって再び「良いクリスマスをーーー。ふおーっ、ふおーっ、ふおーっ!!」と。

広告サンタは最後までやりきりました。あっぱれ。

 

そんな彼を、頑張ってるなあーと思い、貰ったチラシに目を落としまします。マッサージ屋さんのチラシでした。サンタも頑張ってるから今度一回マッサージ行ってみようかなあ、などと思いながらお店の場所を見てみると、そこには何故か福岡市の住所と地図が。

 

ん???どういうこと?


なんで那覇市の中心街で、福岡市の国体道路沿いのマッサージ屋さんのチラシを配っているの? 謎です。

 

謎が解けることは無く、サンタも汗だくになりそうな、クリスマスの昼時の事でした。

 

頭の上に?マークを沢山浮かべながら歩くぼくの前を、Tシャツ短パンにビーチサンダルのおじさんが歩いてゆきます。

ここは那覇市。国際通り近くの露地でのクリスマスの日は、こんな風に過ぎてゆきましたとさ。

 

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街の記憶12

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TVの中の有馬記も終わりまして、いよいよ年末ですね。

そんな年末雰囲気を感じつつ、M1を見ながらこれを書いています。ミルクボーイのコーンフレークで大笑いです。今年のM1面白いっ!!

 

思えば今年は大きな変化の1年になりました。夏に高知から沖縄へ転勤し、沖縄の日々の景色が新たな思い出となりつつあります。

 

街の記憶も沖縄編に突入しています。高知や四国の景色とは、まるで違うこの街を、カメラに納めてゆきたいと思います。

 

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宮本輝を読む


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学生時代によく読んでいた宮本輝の小説を読むことが、最近の大きな楽しみになっている。

 

『泥の川』からの三部作。男女が手紙をやり取りする形式で、それぞれの心情を表す『錦繍』。短編集だけど最も好きだったかも知れない『五千回の生死』。どれもまだ世間知らずだったぼくに人生の何たるかを、少しだけ教えてくれたような物語たち。そして、すぐそばにいそうなキャラクターたち。

 

社会人になって小説を読まなくなって、あれほど好きな作家だったのに読まなくなってしまっていた。

 

随分と間が空いていまったけど、空白の時間を埋めるように次々に読んでいる。

 

最近読んだ『三十光年の星たち』もまた、生きる力を与えてくれるような物語だ。

この小説に次のような一節がある。

 

 

「自分を磨く方法を教える」と佐伯は言った。仁志は、車の速度を落とし、佐伯の次の言葉に神経を集中した。「働いて働いて働き抜くんだ。これ以上働けないってところまでだ。もうひとつある。自分にものを教えてくれる人に、叱られ続けるんだ。叱られて叱られて、叱られて、これ以上叱られたら、自分はどうかなってしまうくらい叱られ続けるんだ。このどっちかだ」

 

この物語の終盤で、何者でもなかった30過ぎの若者である仁志は、もう70を越えて人生の後始末を始めた佐伯の意志を継ぐことを、自分の使命だと決める。佐伯の全てを引き継ぐ事の重さを、引き受けると決意するのだった。それは『師弟』ともいえる世界。伝統工芸の職人の世界にもあるような。

 

今の社会が失くしてしまったかもしれない、大切な何かを言い表しているような気がして、ぼくは、この文章を手帳に書き写したのでした。

 

そして、人間にとっての信頼というものを、少し考えさせられたのでした。

 

 

キリンジを送る

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11月の下旬の東京は肌寒くて、本格的な冬の訪れが近い事を思い出させてくれた。

久し振りの東京出張なのだ。

 

沖縄生活一年目で、当地での初めての秋冬を迎えようとしているのだけど、もう本土と感覚にズレが生まれているようだ。

この記事を書いている12月7日だって、那覇市の最高気温は18度の予報。ちなみに東京のそれは9度だ!

 

それはそうと東京出張で、学生時代の後輩と飲む事になった。後輩と言っているけれど、ぼくの中では数少ない大切な友人の一人だと思っている。ぼくは、そんな彼の事を親しみを込めて「そうちゃん」と呼ぶ。

 

「そうちゃん」との待ち合わせは、手羽先がウリの大衆酒場。飛行機が少し遅れ、羽田から直で店に急いだ。

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Googleマップを睨みながら、そうちゃんが予約したお店を探す。やがて、辿り着いたその場所の店構えを見ながら嬉しくなる。

そのお店は「ザ・大衆酒場」という表情なのだ。学生時代からぼくらは安酒の飲めるお店が大好きだった。お店で飲めれば良い方で、線路沿いの目覚まし時計が不要のアパートに仲間たちが集まって、「大五郎」を飲みながら、くだらなくも真剣な会話を楽しんだものだと思った。

 

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しばらくぶりの再会を乾杯で祝うと、いつものようにどうでもよく、取り留めのない雑談ダダ流しの時間に。話題は最近読んだ本の事や、音楽や映画の事、何故か空手の起源についての考察などから、世相や政治経済にまで広がる。この他愛もない雑談の時間ほど贅沢なものはないなあ、と思うのは最近の事だ。

 

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この酒席で、そうちゃんが熱く語ったのが「キリンジ」というバンドの事。あの有名な「エイリアンズ」を歌ったバンドだ。

彼が、「あのユーミン(松任谷由美)が、キリンジのエイリアンズを初めて聴いた時に、『やられた』といったんですよ!」と嬉しそうに言いながら、ビールを流し込んだのは良い光景だった。

 

 

www.fuku-taro.net

 

後半は村上春樹論となり、ねじまき鳥を最高傑作だと言う、そうちゃんと、初期三部作+ダンス・ダンス・ダンスにこそ村上春樹の本質があるというぼくの議論は、何杯目か分からないビールとハイボールのお陰でぐにゃぐにゃな展開になって可笑しかった。

 

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久し振りの東京から戻って暫くが経って、今、この記事をキリンジのアルバム「キリンジ・3」を聴きながら書いている。このアルバムのCDを、そうちゃんがわざわざ送ってくれたのだ。CDが売れない時代にCDを聴き、郵送でそれをやり取りするぼくらは、きっと少しづつ時代からずれている。でもね。だからこそ心安く、楽しいんじゃないか。

 

ぼくが東京の端っこで暮らした時代は、もう随分と昔になってしまった。あの頃の東京はもっとキラキラしていたんじゃなかったかなあ、なんて思う。

2019年の初冬。少し疲れているように見えた東京の街で、古い友人との無駄話が、コントラストを効かせて輝いたような夜だった。

私的不定期名曲選『この曲もえーやん!』

www.youtube.com

 

この曲は僕にとって、少しだけ特別な曲だ。

若い頃に、仲の良かった女の子とふたり、電車のホームに並んでいた時、彼女が耳にイヤホンを当てていたので、ぼくは彼女に聞いた。

 「なにを聴いているの?」

彼女は、少しいたずらっ子のような顔でぼくを見上げ、彼女の右のイヤホンを外して、ぼくの左耳にそっと当てた。そして、流れてきた曲がこの曲だった。この曲が、映画のテーマソングだと教えてくれたのも彼女だ。この映画をいつか観に行こうという約束は、その後、どうなったのか良く覚えていない。

 

あれは、そう、若き日の永遠の一瞬。

 

 

高知の事を思い出す

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 11月も半ばを過ぎたというのに、今日の那覇市の最高気温は27度でした。今年の8月に沖縄にやって来て、沖縄の秋冬を初めて体験するわけですが、気温や湿度など、ここ最近が一番過ごしやすいです。

 那覇市の10月11月はイベントが多くて、お出かけ先には事欠きません。今日は「離島フェスタ」という催しが沖縄セルラースタジアムで行われました。沖縄の離島の名産品が一堂に集まっていて、見る物みんな珍しくてとても楽しめました。そんな沖縄生活一年目を過ごしています。

 

 ツイッターを眺めていると、『龍馬生誕祭2019』が行われたとの投稿を見つけました。ああ、もうそんな季節かあ、と気付かされながら、高知市上町の『龍馬が生まれた町記念館』の事を思い出したりしています。

 

 そういえば、高知に住んでいた時に、この『龍馬が生まれた町記念館』の事をブログに書こうと思い、館内をカメラでパシャパシャ撮りながらメモを取っていたら「取材ですか?」と職員の方に声をかけられた事がありました。結局、その時の写真とメモはそのままになっていて、記事はお蔵入りとなってしまいました。機会があればブログに載せたいと思ったりもします。実は高知のお蔵入り記事が結構あるんですよね。

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11月も半ばを過ぎれば、高知では寒い日も増えてきます。「冷ようなった、冷ようなった(ひようなった=寒くなった)」と、土佐弁で独り言を言う、近所に住んでいたおばあちゃんを思い出します。お元気かな。

 

 今週は東京出張もあるし、週末には親戚が沖縄に遊びにやって来るし、忙しくなりそうです。さあ、頑張りますよん。