「有給休暇をどう過ごすか問題」というものがあると思う。
最近の働き方改革の世の流れに沿って、有給休暇を取らなければいけないようになってきたようですね。残念ながらプレミアム・フライデーは定着しなかったけど。
ところで、休暇を取るとして、その一日をどう過ごすかにぼくは頭を悩ますのです。小旅行に出ようか、それとも水辺で釣り三昧を過ごそうか。ぼくの発想は、だいたいこんなところに落ち着きそうになります。もうちょっと工夫して何か新鮮な事はないだろうか、そんな風に思うんですけどね。
最近読んだ何かの記事で、「休みを思いっきり楽しもうと、遠出して逆に疲れてしまう人たちが多い」というものを見かけました。ぼくにも思い当たる節があります。そういえば最近仕事も忙しいし、疲れてるなあ。
そして、その記事は続きます。
「疲れを癒すには一人きりになって、3日間何もしない日を作ると良い」
らしい。
自分の置かれている現状を冷静に思えば、記事のように3日間も一人で何もしないで過ごすなんてことが、なかなか許されそうにもないので、せめて1日でも何もしないで過ごそうと思うに至ったわけです。
どうせ何にもしないなら日光浴でもして、久し振りに体を焼こうかな、と思いつきました。「美白至上主義」で紫外線が厄介者のような昨今では考えられらいでしょうが、20年ほど前には夏はこんがり小麦色がカッコイイという時代があったのです。そういえば、もう20年以上は海水浴にも行ってませんねー。体を焼くなんていつ以来だろう。でも今は焼きたい気分なのだ。
久し振りに海水浴にでもとも思いましたが、今回は「何もしない」がテーマだから遠出しては意味がない。ふと思いついた徒歩圏内のビルの中に、絶好の日焼けスポットがありました。
高知市の中心街の、ど真ん中にあるビルの中にサウナ「ルーマプラザ」はあります。ここにはサウナで熱せられた体を休めるために、外に張り出した広いベランダのスペースがあり、そこにはビルの上に広がる空のもと、デッキチェアーが並んでいました。これは使える。
朝8時前には家を出て、通勤の人たちに紛れて歩きます。今日は金曜日。仕事に向かう人の中で、ショートパンツとサンダルのぼくは、いかにも浮いています。目指すは、おまちのオアシス、その名も「ルーマプラザ」。
ロッカールームで着替え、サウナ用の短パン一枚になりサウナには目もくれずに、さーっとベランダのデッキチェアーへ。日光浴にはもってこいの快晴です。朝だから良いけど昼になったら熱中症が心配だなこれは。
デッキに横たわり目を閉じる。
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シャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワ・・・・。セミの鳴き声が続く。
シャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワ・・・・セミの催眠術にかかるように、頭の中が空っぽになってゆきます。
遠くで交差点の歩行者信号が、カッコーの鳴き声の電子音を響かせてる。
目を閉じてデッキチェアー横たわっている耳に、街の営みが聞こえてきます。モーターの回転音を響かせながら、細いレールの上をゴトゴトと行くのは路面電車です。
南国土佐の強い日差しがジリジリと肌を焼く熱を感じます。風が吹き肌を撫でると、じっとりと浮かんだ汗から熱を奪って行く。冷たくて気持ちいい。風って本当に「そよそよ」と吹くんだな、そんな事を思います。
ジリジリとした日差しが少し弱くなった気がして目を開けると、太陽に薄い雲がかかって流れていました。それを確認して目を閉じる。しばらくすると、ジリジリとした感覚が戻ってきて雲が抜けた事を知ります。
一時間ほど日を浴びてから、館内のレストランへ向かいました。
午前10時になる前の日光浴とビール。ここがハワイのビーチなら優雅なリゾートなんだけど、街中のサウナだって悪かないよっておじさんは思うのだ。
冷たいビールってやっぱウメェーー。そして、休みは始まったばかりなのです。