南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

POPEYEとおじさん

f:id:fuku-taro:20250811211613j:image

雑誌POPEYEの旅特集が好きで、つい買ってしまう。最新号の特集は「サマーボーイと夏の島」というもので、サマーボーイでもないし、夏もそんなに好きでなくなったおじさんなのだけど、買ってしまうのだ。若い頃に旅した礼文島の事が載っていたからというのもある。

礼文島に行ったのはもう28年も昔の事か。当時のぼくは結構キツイ失恋をした後で、後輩のSくんと1週間をかけて北海道を車で旅していたのだ。地方から東京への転勤もあり、同時の失恋もあり、なかなか忙しい時だった。若いぼくは未練たらたらで、財布の中に彼女と写ったプリクラを入れたまま捨てられずにいた。

 

この北海道の旅は釧路から始まり野付半島を巡り宗谷岬を抜けて、稚内まで走破した。釧路のBARで会った若い男の事を(自分も若かった)思い出す。彼はその店のオーナーの友達だと言った。オーナーが出かけたまま、もう3カ月も戻ってこないので、仕方なく自分が店を開け閉めしているのだと。若い女の子2人組が店を後にした後、2人きりで閉店までいろいろな話をした。彼はいつか札幌に出て一旗揚げたいと言った。

 

旅の何日目かに稚内からフェリーで礼文島に渡り、かあちゃん宿という民宿に投宿した。スコトン岬をSくんと歩いている時に「Aちゃん、結婚するらしいですよ」と彼は言った。ぼくは動揺する心を見透かされないように、平静を努めた。

そして、スコトン岬にあった東屋の柱の陰にに、あのプリクラを貼って背を向けたのだった。

 

話は随分逸れてしまったが、このPOPEYEの誌面で見る礼文島は変わらずに美しくはあったが、景色を懐かしいと思えるほどには記憶に残っていなかった。

 

ともあれ、ぼくはPOPEYEの旅特集が好きだ。この島旅特集の前号はアジア旅の特集だった。でも正直言えば、おじさんがPOPEYEを読んでることに気恥ずかしさがあり、人には言えない。

f:id:fuku-taro:20250811211623j:image

この三連休が雨ばかりの日々となり、時間がたっぷりできてしまったので、端から端までPOPEYEを読んでみた。すると、特集は若い編集者が書いているようだが、特集の後に続く連載のコラム群は、ぼくと同年代の人たちか書いている事に気づいた。このコラム群がやたらと面白い。正直、今まで全く読んでいなかった。

同年代の人たちが書く、江戸前天ぷらの神様の話や、レトロ冷凍庫の霜取り中毒の話、ムーンライダーズの鈴木さんが出てくる話などなど、ドピシャに楽しめる。インターネットと違い紙の雑誌は、自分の関心がない事柄まで幕の内弁当のように話題が詰め込まれている。それが、枯れかけた好奇心を刺激する。

ありゃ、これは普通に面白いぞと思ったりしたのだが、やはり、人には言いにくい。だって、ぼくが昔POPEYEを読んでいたのは高校生の頃だもの。これは、ぼくが高校生の頃から変わっていないということなのか、それともPOPEYEが幅広い年齢層を意識した編集になったのか。まあ、自分が面白いと感じられれば良いのだけれど。とにかく、ぼくは旅に、変わらない憧れがあるということだ。