港の近くの、古くからあるラーメン屋のラーメンは懐かしい味がした。
正直に言うと、今どきのラーメンと比べると味は落ちる。けれど、昼時にはいつだって多くの客で賑わうのだ。
客の多くは労務者風だ。スーツ姿のサラリーマン風は少ない。
通りの向こうに、沢山のコンテナが積まれているのが見える。貨物船が並んで停泊している。
寂しげな公園は、昔、中学校同士の派手な喧嘩が起きた場所だ。その頃の少年たちは、それを伝説のように話していたっけ。
寂れた海辺の街。ここがぼくのホームタウンなのだ。この街を出て何十年が経ったろう。ぼくは変わったろうか?変わらないだろうか?
ホームタウンで食べるラーメンの味は、あの頃の味がした。