最近、TVがどの局も同じニュースを流し続けた夜に、ヴィム・ヴェンダースの古い映画のブルーレイを続けて観た。
「都会のアリス」「まわり道」「さすらい」の三本はロードムービー三部作と呼ばれ、このドイツの映画監督の、特に初期の代名詞的作品だ。
ぼくは少年時代からロードムービーというものが好きだった。後の転勤族生活へ続く潜在的な要因は、実はこのロードムービー好きから来ているのでは無いかと、思ったりもする。
久し振りにちゃんとしたロードムービーを観てみると、人生の初期においての、未成熟な若者の不安定さを表すには、とても有効な形式だと思った。
ロードムービーに魅せられた頃のぼくも、とても未成熟だったのだ。では、今は?
少しは成熟したのだろうか。しかし、同年代の人なら少しはご同意頂けるように思うのだけど、成熟と老化の境目は曖昧なように思う。成熟にはそれなりの経験と自己練磨が必要に思うが、老化は時の流れの結果だ。しかし、そんな事さえどっちだって良いじゃないかと思えるようになってきた。これは成熟のなせる業か、老化によるこだわりのなさか。
異邦人の歌をここに残しておこう。こんな気持ちで若い時期を過ごした事を思い出しながら。