今年の正月は、久し振りに故郷へ帰省した。
中心街の駅前は、数年前の駅ビルを中心とした再開発ですっかり小綺麗になっていて、ぼくらが中高生の頃に時間を持て余して、犬ころのように彷徨いていた面影はない。
小学生の頃に住んでいた家を訪ねてみたが、もう家は無く、ちまちまとした狭い町割りに、自分の家があった場所さえ思い出せない始末だ。
小学校に上がる前に、近所に新しく作られた公園があった。その公園は土手沿いに川を埋め立てて作られたものだったはずだ。
近所に住んでいた同い年のコスミちゃんと、まだ工事中で立ち入り禁止だった公園に忍び込んだ事があった。
埋め立てられたばかりだったからか、地面は湿っていて柔らかかった。重機が入って、大人たちが作業をしている隙をみて忍び込んだ。二人して遊具の陰に隠れていただけだったが、小さな子供たちにとっては冒険だったのだ。
やがて、コスミちゃんが「おじさんたちに見つかったら怒られる」と不安がり、ぼくらは再び大人たちの目を盗み逃げ帰った。
あの時にまだ完成していなかった公園に行ってみた。公園はその後ぼくらの遊び場となったが、その頃にまだ小さかった樹木が大きく枝を伸ばしていた。時の流れはこんなところに見える。
ペンキが塗られたばかりだった遊具はすっかり古びてしまい、うっすらとひびだらけだ。ベンチの木製の座面が乾いてひび割れ、寂しさを感じさせた。