「4月3日はシーサーの日だそうよ」
土曜日の昼下がり、ツマがぽつりと言いました。
地元の情報誌「おきなわいちば」を愛読し、地元情報満載のTV番組「あまくま歩人」を熱心に視聴するツマは沖縄情報通です。
そんなツマが、こんな風にぽつりと話しかけてくる時は、だいたい「行ってみたいんだよね」という事なのです。
「4月3日?今日じゃない。行ってみる?」
僕はツマに合わせてそう応えます。もうこの時点で行くことは決まっているんですけどね。我が家の場合は。
那覇市壺屋のやちむん通りは、沖縄陶器の故郷のひとつです。那覇市の戦後復興は、この壺屋でのお茶碗作りから始まったと言われています。毎日ごはんを食べる為のお茶碗づくりに、希望と活力を見出したのでしょうか。
この日のやちむん通りはシーサーの日という事で、普段はなかなか見られないシーサー作りの実演が行われていました。シーサーは作る人に似てくるなんて言われているそうですが、その表情も様々です。ハリウッド版のゴジラのような怖い顔のシーサーもあれば、どこか人の良さそうな(?)シーサーもあったりします。
この日はイベントらしく、通りの其処此処に大小のシーサーが置いてあったりして、シーサー尽くしの様相でした。
そして、ツマにはもう一つの目的があります。それは、最近とても気に入っている作家さんの陶器を見に行くことなのです。金城有美子さんという陶芸家の作るカップやボウル、お皿などにツマはすっかり魅了されているようです。
ツマは、本来あまりモノに執着しない人なのですが、珍しいことにこの作家さんの陶器のことがとても好きなようす。
もともと、ここの陶器が好きでお店に通って眺めていたのですが、ある日、店員さんだと思って話していた女性が、たまたまお店に来ていた作家さんご本人だったことがあったそうです。その金城さんの気さくでありながら、奥深さと聡明を感じさせる人柄にも魅了されたとか。それ以来、2週に1度はこのお店を覗いているんじゃないでしょか。これは、本当にツマにしては珍しいハマりようです。
この日はお店の人に許可を得て、写真を撮らせていただきました。そして、ツマは以前買おうとしていたのに、売り切れてしまっていたカップと同じ柄の新作を購入しました。我が家のカップはいくつ目だ?と、思ってしまいます。
でも、実は僕もこの作家さんの器が好きで、次回はお皿を買おうと目論んでいたりするのですが。
何かを好きになるのは、良いことだと思います。それは、生きる力を強くしてくれるようです。そして、やさしくて温かみのある器があるだけで、日常がとても豊かになるものですね。