沖縄県本島北部の町、名護市を歩いてみた。
ニコンD750に50ミリの単焦点のレンズをつけて持って行った。
カメラを趣味にする人達の間には「レンズ沼」という言葉があるが、ぼくはレンズ沼を避けながら歩いている。
「レンズ沼」とは、カメラレンズには多くの種類があり、それぞれに個性があるので、あれもこれも欲しくなってしまうというものらしい。そして、恐ろしいことに、レンズの一本一本がとても高価なのだ。
元来、凝り性のところがある事を自覚しているので、沼には近寄らないようにしている。カメラは写ればよい、とうそぶきながら沼を避けて歩いている。
でも、実際、ぼくはカメラやレンズよりも、撮る対象の方に興味があるのだ。自分が歩いた街を記録しておきたいというのが、写真を始めたきっかけなのだから。
それでも、単焦点で街を撮る楽しみは感じている。ズームが効かない分、自分の体もカメラと一体になる感じが良い。
ところで、名護の街なのだが、2000年に行われた九州・沖縄サミットが行われた街だと言われれば、何となく記憶にあるだろうか。
米国のクリントン大統領や、英国のトニー・ブレア首相ら主要国の首脳を集めて行われた九州・沖縄サミットは、20世紀最後のサミットであった事と、初の地方開催サミットであった事として記憶されている。そして、ホストを務めた日本の総理大臣が森喜朗首相だった。
歓迎夕食会で安室奈美恵が「NEVER END」を歌ったり、記念の2000円札が発行されたりと、当時は随分話題を振りまいた。その2000円札だけど、ここ沖縄でも滅多に見かける事はない。たまにお釣りに交じってくると嬉しくなり、しばらくは財布の中に留まっている。
日本ハムファイターズのキャンプが行われるのは、名護市営球場だ。本来は賑わう時期なのだが、コロナ禍の下では街もひっそりとしている。
中心街の市営市場の飲食店は殆どが店を閉めていて、街を歩いていてもコーヒーを飲むことも出来ず、何もすることが無い。ただ、歩くのみだ。
シャッターが上がらなくなって、しばらく経った感のあるボーリング場を寂しげに眺めながら歩く。
樹齢300年といわれる「ひんぷんガジュマルの樹」は、街のシンボルだ。
今回は、人通りも少なく、店も閉まっていて寂しげな名護の街であったが、名護湾を臨み、山地も迫るこの街は夏が良い。大学のキャンパスもあるので、若者たちが伸び伸びとこの小さな楽しんでいる様子が覗える。
春が近いようだ。今年は名護の街をもっと撮ってみたい。