つづき
結婚式当日は快晴でした。高知市中心部の廿代町のホテルで朝食を取ってから出掛けます。
小さなブリキの玩具のような路面電車が、ゴロゴロと音を立てて進んで行きます。これも高知の光景です。
披露宴会場に入ると、テレビのバラエティショウでよく見る、透明のアクリル板でテーブルが仕切りがされています。入口では検温と健康チェックが行われましたし、このコロナ禍の中での結婚式は厳戒態勢です。
高知の宴席では献盃・返盃という習わしがあって、一つのお猪口でお酒を注ぎ合い、交互に飲み合うのが通例ですが、勿論、これも今はご法度です。しかし、延々と続く献盃・返盃であっという間にヘベレケになってしまうのも恒例ですから、お酒が苦手な人には献盃・返盃の禁止は好都合かもしれませんね。でも、みんな手酌で寂しそうに飲んでました。
そんな異例の形での披露宴でしたが、若い新郎新婦の初々しさにおじさんおばさんたちは心を洗われていました。隣のテーブルの女性が「家に帰ったら旦那をもうちょっと大切にしなきゃいけないと思ったわ」と言うぐらいに、互いを思いやる若いカップルは素敵でした。
お酒が入ってくると、誰彼ともなく「コロナだけど、結婚式やって良かったなあ」「こんなに華やかなのは久し振りで、やっぱり嬉しいね」と、そんな声が聞こえます。新郎新婦も結婚式をやるべきが、中止すべきか最後まで悩んだようです。それも、きっといい思い出に変わるでしょう。
厳戒態勢での披露宴でも、式場のスタッフの尽力もあり、明るく華やかで素敵な式になりました。拍手です。
三時間半渡る披露宴が終わり、ぼくらはひろめ市場に流れました。みんな飲むのが好きだなあ。やはりここは高知だなあ。
今日もカツオのタタキを食べますよー。
ニンニクを乗せて塩で食べるのが当地のやり方です。
高知の名物「どろめ」
ひろめ市場は思ったよりも賑やか賑やかでした。でも、テープルに人数制限があり、蜜を作らないように配慮されていました。お酒が入ってくると、そんなルールも忘れてテーブルが人数オーバーになりそうになりますが、この度にスタッフの人から注意が入ります。気を付けなければいけませんね。迷惑はかけられません。
「花嫁の父親の悲しそうな顔が泣けたー」
そんな感想がたくさんありました。ぼくもウルッときました。バージンロードを新婦の手を取り進む父親。やがて、新婦の手を新郎に託して深々と頭を下げました。ううう……本当にいい光景でした。
この日の助演男優賞は、間違いなく花嫁の父だったでしょう。
もう少しつづく。