南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

在台灣轉來轉去旅行④(たいわん うろうろ たび)

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【2018.8.20】②

<可愛い台湾>

東門市場を抜けて金山路を渡ると、天井の無いマーケットが伸びている路地が見えてきた。肉や野菜や果物に惣菜と賑やかに並んでいる。日除けの下でいかにも商売人といったおばちゃんが、試食してゆけと切った果物を差し出すが、ここは遠慮することにする。だってこれからいろいろと食べなきゃならないからね。とにかく、こちらは活気があった。

交通量の多い信義路を渡り、永康街の入り口に差しかかると、鼎泰豊(ディンタイフォン)に並ぶ人の行列が見えた。今回、旅行前に家人と「小籠包は絶対食べよう」と誓い合ったのだが、この行列を見るとやっぱりスルーしたくなる。並んでる時間にアチコチ行けるでしょう?ぼくらの旅行は、知らない所を求めてウロウロする事が最優先なのだ。

昨年、永康街の奥にあるお洒落なレストラン「TAKE FIVE五方食蔵」で出会った、台湾に嫁いだという若い日本人女性の事を思い出した。

「鼎泰豊は日本人と韓国人の観光客ばかりで、地元の人は行かないんですよ」そう言って彼女は笑った。言葉に難儀して、言語学校に通っていると言っていたけど元気だろうか。たった一度、テーブルが隣になっただけの、日台の若い夫婦の事を思った。

 永康街を家人の後について進む。家人の付箋だらけのトラベラーズノートが活躍し、いくつかの雑貨店を巡る。来る度に思うのだけど、台湾にはお洒落で可愛い雑貨が多い。それらを眺めているだけでも気分が上がってくる。ぼくは文具や雑貨を見るのが好きなのだ。台湾に来るとぼくの「可愛いセンサー」の感度が上がってしまい、店内でたくさんの大人女子の客に紛れて「あ、これ可愛い!」などと言っているぼくを、家人は「女子おじさん」と揶揄する。可愛いものは可愛いのだ。気持ち悪いなんて言わないで。そんなこんなで、可愛い雑貨の店「雲彩軒」で、原住民の柄が入ったパスケースなど数点を購入した。

 

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<美味しい台湾>

永康街にある「度小月」は、創業100年を超える、台南で有名な麺料理のお店だ。擔仔麺(タンツウミェン)という麺料理がここの看板メニューなんだけど、これは、むき身のエビと肉味噌の乗ったエビ出汁の麺料理で、ガイドブックでこれを見た時に一目惚れしてしまい、家人に「ここだけは行きたい」とぼくは主張したのだ。

「度小月」は台北市内に二店舗あるそうで、永康街のお店は比較的こじんまりとしたお店だ。テーブルについて早速、擔仔麺をオーダーする。それからイカ団子の揚げ物と、細い緑の茎野菜の炒め物も追加。

食レポは上手くないので上手く伝えられないが、どれも美味しく頂きました。擔仔麺は一人前としては小ぶりで物足りないかも。さすがに看板メニューで美味しんだけどね。ぼくと家人の一致した意見で、茎野菜の炒め物がとても美味しかった。野菜に干した小エビの出汁が効いてて、その旨みと野菜のシャキシャキ感がとても良いのだ。台湾一食目、ご馳走様でした。

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 <永康公園の愚かな思い出>

台湾の夏はとても暑い。この日も気温は30度を優に超えて、太陽はジリジリとぼくらを照射し続ける。毎年、この時期に夏休みを取るので、どうしても暑い台湾を過ごす事になってしまうのは仕方がないのだけど、まあ暑い。永康街の人波を泳ぐように歩き、喉がカラカラになってくると、フルーツジュースを飲みたくなる。台北には冷たくて、とても美味しい生フルーツジュースのスタンドが沢山ある。その充実ぶりを見るに、これは彼の地の暑さ凌ぎの知恵なのだろう、と思う。台北に来る度に、ぼくらもジュースで暑さを凌ぐのだ。中でもスイカジュースは秀逸だと思う。自然なスイカの甘みと、飲むとスーッと暑さが引いて行くような、体を冷やす効果もあるようでとても気に入って飲んでいる。でも、今年はまだスイカジュースを見かけない。昨年はコンビニにもあったのに。でも、味はやっぱりコンビニよりジューススタンドの物の方が格段に美味い。

永康公園の正面にあるジューススタンド「COCO都可」で、タピオカ入りのオレンジジュース(スイカジュースは無かった)を買って、永康公園の木陰で休憩した。永康公園は永康街の真ん中あたりに位置し、多くの人たちが木陰で涼んでいる。夕方になると小さな子供を連れたお母さんたちもやって来る。黄昏時には、観光客も住民も一緒くたに寛いでいる。

この永康公園には、ちょっとイタイ思い出がある。初めて台北を訪れた時にもこの永康公園に来たのだけれど、公園のベンチにスマートフォンを置き忘れてしまったのだ。スマートフォンが無い事に気が付いたのは、一日中遊び惚けてホテルに戻った午後10時過ぎ。NTTドコモなど各方面に電話を入れた後、ホテルの人に付き添ってもらい(有難かった)近くの交番まで遺失物届を出しに行った。交番で言葉が通じずに、お巡りさんもぼくも双方「どうしたものか・・」という雰囲気が漂い始めた時、筆談でコミュニケーションが取れる事が分かり、ぼくは心の中で「ブラボォー!」と叫んだよ。その時に台湾語でスマートフォンは「手機」と書くらしい事を知った。遺失物届は何とか提出する事が出来たのだが、その申請書には生活ぶりを記入する欄があり、「富裕」とか「困苦」とかそんな文字が並んであって丸を付けるようになっていた。旅行者には伺い知れないが、台北の生活や社会はそれなりに問題を抱えているのだろう、と思った。

それ以来、手にモノを持って歩いていると「鞄にしまって!」と家人から注意される事になった。そんな事があったりしたけれど、永康公園は台北で最も好きな場所の一つだ。

 

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つづく