2017年の夏に四国を一周する鉄道一人旅をしました。
徳島の秘境駅で途中下車したり、今治ではスマホを失くしたり、日本で一番海に近い駅のベンチで海を眺めたり。高知に来るまで殆ど足を踏み入れた事のなかった四国を、この旅でいくらか知ることが出来たような気がしました。
旅の最終日にJR予土線の土佐大正駅で途中下車し、四万十焼酎銀行なるところで定期預金を作成しました。この四万十焼酎銀行は、その名の通り「焼酎」を預けるという、なんとも不思議な銀行なのです。「預金」ならぬ「預貯酎」。なんともユーモアのある話ではないですか。そして、その建物は、元々は地元の銀行が実際に営業していたという 本物の銀行の建物なのです。ねえ、なかなかのものでしょう?
四万十焼酎銀行(2017年7月撮影)
ここまでの話で終われば、何だか出来の悪い冗談か悪ふざけみたいになってしまいますが、この銀行、きちんと中身でも勝負している。 えらい!
「預貯酎」する焼酎を製造しているのは四万十川上流の山間で、創業百十余年を数える「無手無冠(むてむか)」なのです。ここが生産する四万十栗を用いた栗焼酎「ダバダ火振」は一時期入手困難になった人気の焼酎です。
そんな本格的な焼酎を銀行の金庫(本物です)で預かってもらいます。定期の預入期間は1年、2年、3年のいずれかから選べます。ぼくは一年の定期で預けました。ちゃんと通帳も発行されます。それから一年はあっという間ですね。
預貯酎は預入期間によって「利息」もちゃんと付くんですよ。元本が焼酎だから利息も焼酎です。封をされたかわいい瓶に利息が入ってました。
ダバダ火振のミニストラップもおまけです。
美濃焼のオリジナル壺の封をあけて、栗焼酎を一口含んでみる。すうーっと、栗の香りと爽やかな甘みが舌の上に広がります。それでいて焼酎としての本来の味わいは深い。四万十の自然が凝縮されたような焼酎。美味いです。
高知に足を運ばなくても「預貯酎」の口座は作れるようですので、気になる方はいかがでしょう。自宅で四万十の豊かな自然を実感できるかもしれません。
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