国道32号は香川県高松市を起点とし、終点の高知市までを南下すると、四国を南北に縦断する形になる。途中、四国山地の険路を越えて、吉野川の清流と並走し、瀬戸内と太平洋を結ぶように下るのだ。
10月27日の高知市は快晴だった。秋晴れの空は青く、高く広がっていて、何処かへ誘ってくるようだ。だからという訳ではないのだが、カメラバックを積んで車のハンドルを握った時に、ふと、国道32号を北上しようと思った。
写真の師匠と勝手に決めている、写真家の森山大道氏は、若い頃にヒッチハイクをしながら国道を撮ったという。それは後に「国道シリーズ」と呼ばれる作品になった。秋空の下、それに感化されたのだな。
ニコンのカメラに中古で買った50ミリのレンズを付けて、国道へハンドルを切った。