南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

高知らしい、素敵な映画館

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昨年10月、高知市の中心に位置する「おびさんロード商店街」に、小さな映画館がオープンしました。その名を「ウィークエンド・キネマM」といいます。

俳優、奥田瑛二の娘で映画監督、そして、高知在住の安藤桃子さんが代表を務める映画館として、ここ高知県では随分と話題になりました。

空き室となっていたビルの一階のスペースを、このままにしてはいけないと、地元企業の社長が声を掛けたのが安藤桃子監督。「何かやりませんか」という一声から映画館のオープンまでは2か月間だったという、スピード開館だったそうです。

このオープンしたばかりの映画館の斜め前、20メートルほど離れた場所に廃業してそのままで放置されている映画館の跡があります。降ろされたままの格子のシャッターの奥には、積まれたままの備品が置き去りになっていて、くすんだ壁には「東映」の看板が今もかかったままです。

昭和30年代には、高知市内に32館の映画館があったそうなのですが、シネコンが全国に展開する中で次々に廃業してしまい、今では「あたご劇場」という一風変わった名物劇場のみとなってしまいました。「あたご劇場」の事は以前に、このブログでも紹介しましたね。

 

www.fuku-taro.net

 

実は、ウィークエンド・キネマMは期間限定の映画館なのです。2018年末に閉館されることが既に決まっています。支配人を務める女性に話を伺うと、このキネマMが好評だったら、また別の形で映画館を運営しようと頑張っているとの事でありました。ぼくも陰ながら応援しようと会員になり、この素敵な映画館で映画を楽しんでいます。

館内にある57席の赤いシートは、かつて東映で使われていたものだそうです。あのくすんだビルの東映の看板も、きっと微笑みながらキネマMに入ってゆく観客を見下ろしているでしょう。

ぼくは、この映画館のお陰で、廣原 暁という映画監督を知ることが出来ました。この若い監督の劇場デビュー作「HOME SICK」は、寄る辺ない現代の若者と社会を抒情的に表現した良作です。

 

pff.jp

 

「東京ではできない事ができるのが高知という場所」安藤監督はそう言います。高知県人ではない安藤監督が創った、なんとも高知らしい映画館。それがキネマMなのです。そして、ぼくは密かに、しかも、熱烈に応援しているのです。

  

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www.kinemam.com