こんにちは。
先週の金曜日に1日休みを取って、この金土日で九州の大分へ来ています。
昔の職場の若いメンバーの結婚式に出席するためです。
四国から九州に渡るにはフェリーを使うのですが、行きの便は強風で凄く揺れました。
時折、波が船首に強くぶつかり「どんっ」という、かなり強い振動と音が船室に響きます。
乗客の持っていたペットボトルが、大きく揺らいだ床を飛ぶように転がって行きました。
乗客たちは、船室の窓に張り付いて心配そうに外を眺めていました。
明けて翌日の結婚式は、快晴、微風の良い天候に恵まれました。若い新郎新婦と、その若い友人たちの幸せそうな笑顔が眩しく感じました。
この式で久し振りに会った昔の仕事仲間のおじさん、おばさんたちは、披露宴が終わったあと繁華街へ繰り出し、深夜まで飲みながら語りました。
ほんの数年の間に色々な事が変化してゆき、良いことや辛いことがそれぞれにやって来ました。
大いに笑ってばかりでしたが、少し泣いたりもして、ぼくらもそれぞれに会わない間の年数だけ年を取ったなあ、と思うのです。
二十歳になることが大人になることだとすると、ぼくらは大人になって随分すぎる年数が経っています。でも、こういった他愛のない飲み会の会話の中にある、喜びや悲しみに触れるにつけて、ぼくらもすっかりどこにも逃げ場がないほどに、大人であることを実感するのです。
そして今日。今、フェリーの船室の床に寝転がり四国の愛媛へ向かっています。
先程までデッキに上り、春の日差しの下で文庫本を読んでいました。やがて、風が冷たくなってきたので船内に逃げてきました。
読んでいた文庫本は、宮本輝の小説です。宮本輝の新刊を買って読むのは、どれくらいぶりでしょう。この作家の小説は、人間を見つめる眼差しがとても温かいのです。
そして、この2日間で触れた友情や人情や親しみが、この作家の小説と同じように、ぼくの心を豊かにしてくれると思うのです。