南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

四国バースデイ・フリー切符の旅 ①

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旅人、松尾芭蕉は「旅を栖(すみか)とす」と記したという。ぼくにとっての旅は、しばしの「流れていく景色」だ。私的なロードムービーだ。

 

今年の冬に、フリー切符を使って列車とバスの旅をしました。高知市から「四国のみぎした」を抜けて徳島へ至る短い一人旅。その際に、自分に課した旅のルールは3つ。

①スマホを使わない。

②日中ノンアルコール。

③旅の期間は本を読まない。(音楽も聴かない)

この3つのルールを守っていると、手持ちぶさたで、することがありません。でも、それが良いのです。

ただ車窓を流れてゆく景色を眺め、すれ違う人を眺める。

この3日間の旅で、列車の「こととん、こととん」という振動が体に馴染んでくる頃、自分と対話するという日常で失っていた贅沢な時間を体験をしました。

今回から書いてゆくのは、3日間のフリー切符の旅、その第二弾というべきものなのですが、結果的には前回とはちょっと趣の異なったものになりました。前回の旅が「自分との対話」だとすれば、今回の旅は「四国を体感する」ものだったのかもしれません。

 

 前回の旅はこちら ↓

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2017.7.7

<雨の朝。素晴らしい旅の始まり>

JR四国には、バースデーフリー切符というものがあります。誕生月の3日間に四国全域で、普通列車と特急列車の自由席が、途中乗り降り自由で使えるというものです。

前回のフリー切符の旅で、列車の旅の魅力に触れたぼくは、次なる機会を探していました。様々なフリー切符がありますが、「バースデー・フリー切符」の一番良いところは、使える期間が誕生月に限定されている事でしょう。

「ああ、何処かへ出かけたい・・。ぶらりと旅に出たい・・」と、思っても、日常のアレヤコレヤがそれを許さないような気がするものです。それなりに「一応大人」の日常を送っていると、そんなものでしょう。するべきことや、したい事、した方が良いのにそのままになっている事。ぼくのタスクリストは、もやもやと埋まっている気がする。「3日間、一人で旅に出る」という事は、そんなもやもやを吹っ切って飛び出す気力が必要なのです。それが面倒くさくなって、時は流れていく。特に目的の無い一人旅は、不要不急のもの。今すぐ行かなければならない「時」など、永遠に来ないのでしょう。ですから、旅に出るには何か「きっかけ」が、必要なのです。「バースデイ切符」だもの。今月行くしかないのだ。きっかけは自分で作るんですよね。

 

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ところで、旅の出発の前夜は仕事での酒席でした。高知の酒席には「献杯・返杯」という文化があります。日本酒をお互いに何度も注ぎ合いつつ、交互に、お猪口をくいっと空けていくのです。「今日はなるべくお酒は控えたい」そんな思いと裏腹に「献杯・返杯」は繰り返されました。そして、ぼくはしたたか酔ってしまいました。

 

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 「フリー切符の旅」出発当日。ぼくは早朝3時に喉の渇きで目が覚めました。そして、そのまま朝まで眠れませんでした。やがて、明るくなってきた窓の外は雨模様。そして、二日酔いと寝不足のぼんやりした頭。何て素敵な旅日和なのでしょう!ブラボーです。

ボストンバックを背負い高知駅へ。ボケた頭で、この旅、最初のシャッターを切った写真がこれです。

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 この日、この後起こるトラブルを暗示したかのようなミスショット。カメラの設定がおかしくなっていてブレブレの高知駅です。

さてさて、この旅の記録が無事に終着駅までたどり着けますか。それでは、しばらくお付き合い下さいませ。

 

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