前回からの続きになります。妻が事前に計画したミッション。お次は・・
<ミッション④:名物!台湾式シャンプーを体験せよ>
四四南村(スースーナンツン)を出たぼくらは、台北市内を走る地下鉄MRTに乗り「市政府」から「忠孝敦化」へ移動します。目的地は台湾式シャンプーで有名な「小林髪廊(シャオリンファーラン)」です。
台湾式シャンプーは、椅子に座ったまま行うシャンプーです。水とシャンプーを合わせた液体を、そのまま乾いた髪にかけて泡立てる独特の方式です。
店のドアを開けると白いホットパンツの若い女の子が、ソファーからスクと立ち上がって、ぼくらの目の前に進み出て「ソファーが空きましたよ」ジェスチャーで勧めてくれました。ぼくらが遠慮して座るのを拒んでいると、サッと手にしたメニューを差し出され、この女の子が店員さんだと初めて気が付きました。
台湾のいろいろなお店を覗いてみて感じるのですが、客待ちの店員さんがスマホをいじったりして、日本の感覚からするとだらだらとサボっているように見えます。ここもそんな感じでぼくらが座ったソファーに並んで座っておしゃべりしている女の子たちは、どうやら店員さんのようです。客そっちのけで談笑している感じで、日本だったらマネージャーに怒られそうです。先ほどぼくらにメニューを差し出した女の子は、急にキビキビと接客をしています。メリハリをつけて働くのが台湾流なのでしょうか。日本は逆に真面目に働きすぎかもしれませんね。別に、緩やかな台湾の接客で不快な思いをした事はありませんから。
鏡の前の椅子に座ると若い男の子がシャンプーをしてくれました。泡で髪の毛を逆立てると写真タイムです。気持ちよくて眠りかけていたら「シャシン、シャシン」と片言の日本語で起こされます。目を開けて鏡を見ると泡でソフトモヒカンのようなっている自分の姿に思わず苦笑。横を見ると妻も髪を逆立てていました。お言葉に甘えて写真を撮りましたが、おじさんのシャンプー姿なんて自主規制で掲載を控えます。
シャンプー300元。プラス320元で15分のマッサージが付きます。おじさんも思わず笑顔になる台湾式シャンプー。いかがでしょうか。
<最終ミッション:今夜の晩ごはんを探せ!>
ぼくも妻もデジタル機器に疎いアナログ人間です。最近の旅行はガイドブックやマップが無くても、スマホやタブレットがあればそれで事足りるようです。世界中どこへ行ってもネットに繋がれば日本にいるのと変わりがありません。ぼくらは、それがとてもつまらない事のように感じてしまうのです。だから、今回の旅行はホテルのフリー wi-fi 以外はネットを利用しませんでした。
さて、時間も夕刻となり晩ごはんをどこで食べるかを考える事にしました。ガイドブックを片手に取り合えず、MRT「忠孝敦化」まで歩いて戻り、東區地下街を通って隣の「忠孝復興」まで歩く事にしました。
MRT「忠孝復興」から地上に出ると、目の前に大きな「SOGO」がありました。あのお馴染みのSOGOのマークの横に「太平洋崇光百貨」と書いてありました。
さて、晩ごはんを求めるぼくらは、美味しそうなお店がありそうな界隈を目指さなければなりません。ネット非接続でGoogleマップもないぼくらは、街歩きの経験からくる「勘」に頼るしかありません。大きな百貨店がある界隈ですから、そこに集まってきた人たちがお腹を満たす場所が近くにあるはず。しかも、百貨店の中のレストランよりも大衆的で、美味くて安い店があるはず。そう考えて、SOGOの大きな建物の北側の細い路地が交差しながら広がるエリアへ足を進めました。
「大安路」とか「復興南路」と書かれた標識が道路脇に見えるこの界隈は、現地の人ばかりで日本人観光客の姿を見かける事はありませんでした。通りに面して小規模な飲食店や屋台が並びます。台北の街を歩いていて思うのですが、ふらっと入ってみたくなるようなお店が、とっても多いんです。漢字表記の看板に「大塊牛排」とか「鵝肉大王」などと書いてあって字面がもう既に美味しそうじゃありませんか!街を歩いているだけで台北人の食に対する情熱を感じます。
わくわくしながら奥の方まで進んでいくと韓国料理やアジア料理の店が多く見られました。せっかく台湾に来て韓国料理もないか、と引き返します。
あーでもない、こうでもないとすったもんだして、ようやくぼくらがありつけたのが「天銅 火鍋達人大安店」でした。夏の暑い時期でしたが、店内は涼しく鍋でも大丈夫の環境です。若い店員さんは言葉が通じず困った顔で奥へ戻って行きました。年かさの女性が出てきて片言の英語で何とか注文を通します。このお店はタブレットが出てきて、客が色んな食材を指でタッチしてセレクトしながら注文するスタイルでした。店内も黒を基調としてお洒落な感じ。ぼくらの他に若いカップルが並んで座っていました。カップルの女の子はとてもかわいい感じ。男の子はよほど今日のデートが嬉しいのか店内に流れるBGMの曲に合わせて歌い始めたのです。歌う彼の表情は幸せそのものといった感じ。となりの女の子は別に嫌そうではなかったのですが、果たして彼のデートはあんな感じで上手くいったのでしょうか。あの幸福絶頂の彼は、もう一度あの子とデート出来るのでしょうか。余計な心配をしてしまいました。
肝心のお鍋は、肉あり、野菜あり、海鮮あり、〆の乾麺ありで大満足でした。一人に1つの鍋があてがわれてテーブルに埋め込まれたIH調理器で加熱するスタイルでした。これも新鮮。後日ホームページを覗きますと「平價消費、貴族享受」とのコピーが。「安いけど、高級料理」と言ったところでしょうか。確かにそんな感じのお店でした。うまし。
お腹を抱えて店を出ます。夜の九時を回っていました。随分とのんびり食事をしたものです。日の落ちた通りは人が行き交い、益々活気が出てきたようです。台北っ子の宵っ張りはきっとこれからなのでしょうね。ぼくらもお店を覗きながらぶらぶらと歩き続けるのでした。