ぼくが高知へやって来て半年以上が過ぎました。高知で過ごす中で、少しずつ高知の人や風土や文化について「こんな感じかなあ」と思う事があります。
谷是 著「高知県 謎解き散歩」のはじめにこうある。
「土佐は明るい。強烈な太陽が眩しい光線を降り注ぎ、台風一過のような空は天空に突き抜けるように青い。黒潮躍る太平洋、万物が燃え上がるよな椎・楠の若盛り。暗く陰湿なものは微塵もなく、開放的であっけらかん。いつも前向きの一徹さを、今も土佐人に見る事ができる」
そしてこのように結ぶ。
「原日本人が色濃く残っている土地だともいわれる」
ぼくも思う。確かにここ土佐は他の土地と比べて独特だ。「原日本の風景」にも見えるし、「日本の中の外国」にも見える。
3月5日「第49回 南国土佐 皿鉢祭り」が高知城下の大橋通り商店街で開催されたので覗いてみました。そして、また、「土佐の気質」への理解を少し深める事が出来たのではないかと思っています。
商店街に設置された白いクロスの長テーブルの上に、県内の料理人が腕を尽くした料理がずらりと並びます。料理を見ながら「やたら龍馬押しでくるなあ」と思っていたら今年のテーマは「龍馬」だそうです。
それぞれの料理にプレートがついていて、作った料理人の名前と所属するお店やホテルの名前が書かれています。これは祭りであると同時に料理人たちのコンペティションの意味合いもありそうです。
西洋料理のコーナーもありますが、見どころはなんと言っても「皿鉢料理」や「活造り」のコーナーです。
どうです。豪快でしょう!
「料亭 濱長」は、高知県内でも有数の高級料亭です。お座敷遊びも出来るそうですが、そのお値段が破格にお高いそうです。さすがの風格です。
「ホテル 三翠園」は、土佐藩主山内家下屋敷の跡地に建つという由緒あるホテルです。こちらは上品でやっぱりさすがです。
「新阪急高知」の作品は、もう料理だか何だか分かりませんね(笑)
初めて見た魚が沢山ありましたが、ちゃんと名前を付けてくれていると助かります。ちなみに、これらの料理はすべて「生」の「本物」です。ですから、この日1日のみの展示ですし、食べる事は出来ません。
もったいない・・・。
太鼓の音に、龍馬さん本人も登場です。
皿鉢料理祭りを見ながら、土佐人の「伝統を大切にする」ところと「新しく創作する斬新さ」の両面を感じました。また、土佐人の「豪快さ」も充分表れていたのではないでしょうか。
皿鉢料理は、大きな皿に料理を盛って一度に出してしまい、あとは女も男に交じって一緒に飲んで食べた事から生まれた形式だと聞いた事があります。そう言われるとまるで大雑把な料理のようですが、そこは高知の山海の新鮮な食材があってのものなのでしょう。
皿鉢祭りを見た人たちが吸い込まれていくのが、高知の飲みの殿堂「ひろめ市場」
さあてと、ビールでも飲んでから帰りますか。