南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

四国みぎしたフリー切符の旅(徳島ウロウロ編)

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四国みぎしたの旅は続いている。旅は二日目なのである。

昨晩から徳島にいる。そして、この日の予定は、全く決まっていないのだ。

ホテルの部屋で朝をゆっくりと過ごしました。気楽な一人旅です。あんまり早くから予定を入れるのも仕事じゃああるまいし。

このホテルを二泊取っています。少し古いですが、ここは結婚式も行われるようなホテルのようです。良い時代に建てられたものなのでしょう。2階には「スキューバダイビングプール」があるらしいのです。ぼくは2階を覗きに行く事はありませんでしたが、「専任インストラクターの指導で国際ライセンスも取れる」と書いてありました。なんかゴージャスです。でも、料金は他のホテルチェーンよりも安いのです。

徳島駅近くの「たかしまコーヒー店」で遅い朝食を頂きます。老舗のこのコーヒー店のメニューにある「ハンバーガー」は少し変わっています。いわゆるバンズに挟まれたヤツではなく、食パンにハンバーグが挟まれた「ハンバーガー」なのです。このハンバーガーに、アメリカンなボトルに入ったマスタードをたっぷりかけて食べると、うんまい。コーヒーも美味しかったです。ご馳走様でした。

 

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さあ、朝食も終わったしどうしようか。事前に県立図書館でるるぶ徳島を借りていました。(数年前のものだけど)パラパラとめくってみるが、なにせ、今回はフリー切符の旅なのです。車なら効率よく回れるかもしれませんが、鉄道ではそうはいきません。何か所も回るのは無理だと判断し鳴門方面へ行く事にしました。

鳴門へ向かう前に、るるぶに載っていた「ポッポ街商店街」の中にある「南海ブックス」をのぞいてみます。ここはアニメ専門の本屋だそうで、ぼくの知らない作品が沢山置いてありました。

徳島は2009年以降「マチ★アソビ」という名称でアニメをメインに据えたイベントを開催しており、アニメで町おこしをしているようです。阿波踊りのポスターもアニメバージョンが毎年制作されているらしく、非売品で手に入らないので希少価値があるそうです。

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10時58分徳島発の鳴門線に乗りこみます。この鳴門線は「四国みぎしたフリー切符」の対象外なので別料金360円で切符を購入しました。

運転席近くの座席に座っていて、なんとなく運転席を眺めていると運転士が二人います。どうやら新人運転士と指導員のようです。指導員の方は暴れん坊将軍の時の松平健とクッキングパパを足して二で割ったような、とても貫禄と安心感のある方でした。その腕には「指導 JR四国」と刺繍された腕章が巻かれていました。その抜群の安心感の指導員に見守られながら、20歳そこそこの若手運転手が、基本に忠実な指さし点呼を行いながら運転をしています。「発車ヨシっ! 運転ヨシっ!」うーん、一生懸命でいいなあ。

指導員のクッキングパパ松ケンが言います。

「おう、よく頑張ったな。今日はとてもいい運転だった。どうだ、今晩うち来ないか?鯛をさばこうと思ってな」

最後のセリフは、ぼくの妄想でした。

 

列車は鳴門を目指して進みます。ただ車窓を眺めて過ごします。今日もスマホも本も見ないのです。この旅のルールは今日も続いています。

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11時38分鳴門駅到着。鳴門駅までやって来たからといって、なんの計画もありません。さあてどうしよう。

るるぶを眺めてると、鳴門海峡の渦を身近で見る事が出来る「渦の道」というものがあるらしい。とりあえず行ってみますか。

バス停でバスを待っていると、髪をツーブロックに刈り込んだ20代半ばくらいの青年が同じようにバスを待っていた。彼は背中にスタイリッシュなリュックを背負い、首にカメラを下げている。やはり一人旅のようだ。

「旅行ですか?どこから来たんですか?」

声をかけようとして止まった。何故なら、彼はマスクをして耳にイヤホンをつけていた。なんだか邪魔しちゃいけないような気がする。マスクにイヤホンだと、まるで外部との接触を拒んでいるかのように感じてしまうのだ。余計なお世話だが、折角の旅行が勿体ないような気がした。でも、そんなスタイルもあるだろう。考えてみれば、ぼくもずっと昔にそんなスタイルの時期があったのだ。

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今日は大潮で渦が出やすいらしい。15時30分前後が渦を見るのに良い時間だと書かれていた。それまでまだ時間があるので、大鳴門橋を一旦離れ、大塚国際美術館へ向かう事にした。

大塚国際美術館は、ここ徳島が地元の大塚製薬グループが設立した日本最大級の「陶板名画美術館」です。旅行客の評判がとても高い施設です。

大塚国際美術館|徳島県鳴門市にある陶板名画美術館

20分くらい歩いて行ってみると、なんと本日は臨時休館日!

美術館の正面の道路を工事していました。

その大塚美術館の正面には「大塚 潮騒荘」なる巨大な保養施設がありました。その巨大で荘厳な佇まいに、ぼくの傍を歩いていた若いカップルが

「なに?この建物?」「すげー、なんかの宗教施設?」と会話しているのが聞こえてきました。ここ鳴門市では、大塚製薬グループの存在感は格別に大きいのです。

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美術館が閉まっていたので。仕方なく、大鳴門橋の方へ戻るために、てくてくと歩きます。ここが「行き当たりばったり旅」のダメなところです。でも、いいじゃありませんか。ぼくは仕事や出張でここに来てるんじゃないのです。スケジュールをこなさなければいけない訳でもない。のんびり行きましょう。

 大鳴門橋へ戻る途中、展望所がありました。ボードウオーク風の場所で、木のベンチに座り、しばらくの間ぼうっと海を眺めていました。この展望所に差しかかった時、潮騒の音が聞こえてきました。あまりにその潮騒の音が耳に心地よかったのです。

ふと「豊穣の海」という三島由紀夫の小説のタイトルが浮かんできました。「豊穣の海」というのは、こういう海なのかもしれないな、と思いました。

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その後、大鳴門橋架橋記念館エディという施設に入りました。ここは「鳴門大橋や渦潮を疑似体験できる」施設という事で、様々な展示やアトラクション、ゲームなどがありました。それなりに面白いのですが、平日の午後にも関わらず、女性のグループや家族連れ、カップルばかりで男の一人旅には向かない場所でした。そういえば、バス停で会った「ツーブロックのイヤホン青年」がここに来ていました。彼もやはり一人でしたが、なんとなく所在無げに見えました。お互い浮いてたよなあ。

エディを出て「渦の道」へ。ここも観光客ばかりでしたが、開放感があり楽しめました。足元がガラス張りになっていて鳴門海峡の渦が真下に見えるのです。

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鳴門海峡を十分に満喫し徳島行きの列車で戻ります。

今日が徳島最終日なので、もう一軒行ってみたいところがあります。

それは「阿波おどり会館」。徳島に来たらここ行かなきゃダメでしょう。

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阿波おどり会館でお土産を購入し、そろそろ夕食にします。せっかく徳島に来たのだから徳島ラーメンの重鎮「いのたに本店」に行きたい。

15分ほど歩いてゆくとシャッターが閉まっていて、そこに営業時間は

17時までと書いてある。ショックです。そういえば、この日はお昼ご飯を食べていなかった事を思い出します。急激に空腹感が高まる。むむむ。

徳島駅方面へ行き、「支那そば よあけ」へ突入しました。

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お腹を少し落ち着かせると、ビールを一杯やりたくなるものです。宿泊していたホテルの正面にあった、「大衆割烹 安兵衛」へ侵入。

ここは、とってもリーズナブルなお店でした。注文を取るおねえさんも笑顔で愛嬌が良い。カキフライでビールをぐびぐびとやりました。

お勘定の時に、レジ脇に一枚の色紙を発見しました。

「安兵衛 暖かなお店でした 吉田類」

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ぼくはその時、酒場詩人の足跡を眺めながら、「徳島お腹いっぱいです。ご馳走様でした」と思ったのでした。