南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

高知のもう一つのご当地ラーメン

ご当地ラーメンというものがありますね。

古くからあるのは、九州のとんこつラーメンや、札幌の味噌ラーメンなんかが思い出されます。東京のラーメンはしょう油スープの中華そばだったりとか、その程度の大まかな分類でおおらかな時代がありました。

今では、さまざまなご当地ラーメンが登場していて、新興のご当地ラーメンが今では全国区になっているものもあるようです。

 

一方で大多数のご当地ラーメンは、全国区にはならずにあくまでご当地ラーメンとして地元の人たちに愛されているようです。そうしたラーメンは正しく「ご当地」に行かなければ食べられない、贅沢な一品だと思うのです。

 

高知のご当地ラーメンとして、以前ご紹介したのが須崎市の鍋焼きラーメンですが、今日はもう一つの高知のご当地ラーメンの事を書きたいと思います。

 

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今回書きたいのは、インスタが登場するずっと前から「映えて」いたという、高知の「味噌カツラーメン」です。トンカツを乗せれば「映える」の法則はカツカレーで広く知られますが、その法則をラーメンに転用したものです。ご飯ものにカツを乗せるのは何となく容易そうですが、汁物にトンカツはどうなんでしょう。第一印象はそう思いましたよ。

 

 まず最初は「自由軒 伊野出来地店」の味噌カツラーメンです。

 

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「自由軒」は高知県内に数店ありますが、どのお店でも味噌カツラーメンは人気のようです。地元の方によると、数年前に「秘密のケンミンショー」で自由軒の味噌カツラーメンが紹介されたそうです。

高知の味噌カツラーメンを初めて食べたのは「自由軒」だったので、ぼくの中でこのお店が基準になる味です。あっさり目の味噌スープに大きめのトンカツかドーンと一枚、その下に控えているチャーシューも肉厚で美味いのです。カツは衣がしっかりとしていて、スープに負けて溶けてしまうことがありませんでした。

「自由軒」はラーメン屋さんではありません。定食類も豊富に揃った食堂です。でも客はラーメンを楽しみに来る人が多いようですね。家族連れも多くて、お休みの日に家族で外食という時にも良さそうな、安心感のあるお店です。ラーメンは塩やしょう油のスープのものもあります。おでんもあったりして、ちょっと嬉しい食のワンダーランドです。

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二件目は「鈴木食堂」の味噌カツラーメンです。ここの味噌カツラーメンは少し上質な感じがします。トンカツはロースカツを注文が入ってから揚げています。スープの味噌は香りがよくて味も深いです。そして中太のちぢれ麺がスープによく合います。これは西山製麺から取り寄せているというものですが、このお店の店主が北海道出身だそうで納得です。本棚にマンガが並んでいるラーメン屋は美味い店が多い、と勝手に思っているのですが、鈴木食堂もそういったお店です。ボロボロになった北斗の拳を読みながら、味噌カツラーメンを美味しく頂きました。

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 最後は「豚太郎 上町店」の味噌カツラーメンです。地元の人が言うには、この「豚太郎」が高知の味噌カツラーメン発祥のお店だそうです。なんでも元々あったメニューではなくて、お客さんがトンカツとラーメンを別々にオーダーして勝手にラーメンに乗っけて食べていたものを、後にメニュー化したそうです。

豚太郎は高知市内に数店舗あるのですが、お店によって味が違うそうです。「ここの豚太郎がすき」という声が多い上町店に行ってみました。元祖味噌カツラーメンは、お客さんのアイディアで生まれたというエピソードを思わせるシンプルな味です。気楽に食べられる街中の味噌カツラーメンといった感じでした。

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高知市内の友人に聞くと、須崎の鍋焼きラーメンよりも豚太郎の味噌カツラーメンの方が「身近」だそうです。高知は東西に長く広いですからね。

 

全国区になれないご当地ラーメンはどこかB級グルメの感じが漂います。だけれどもB級を極めていった店主たちの努力が、その土地に愛される本当の「ご当地ラーメン」を生んだのだろうと思うのです。

高知の味噌カツラーメン、ご馳走様でした。