南風通信

あちこち 風のように

在台灣轉來轉去旅行⑥(たいわん うろうろ たび)

f:id:fuku-taro:20190120082530j:plain

 

 

 【2018.8.21】①

朝目覚めて手元のリモコンでTVをつけると、台湾語が流れ出してきた。意味の全く分からないその音を聞きながら、ぼんやりと台湾にいるんだなあという事を確認する。

画面に目を向けると「台視財経」という文字が見える。並んだ数字の羅列はどうやら台韓貿易の推移のようだ。細かい事はよく分からないけど、台湾の景気が減速しているらしい。台湾語の女性キャスタ―の声を聞きながらベッドに戻り、またウトウトし始める。旅行に来て眠っていてはもったいないんだけど、ホテルのベッドって心地良いんだな。

 今回の宿泊したホテル慶泰大飯店(ガーラホテル)は、MRT行天宮から徒歩2分の場所にあり、いつも利用しているお気に入りの足裏マッサージ店「活泉足體養身世界」にも近く、台北をウロウロするにはとても便利だった。

この日は、ホテルのレストランでコーヒーだけの朝食を済ませて、さあ出発だー!と意気込んで出かけた。何故コーヒーだけの朝食かというと、家人が朝から食べに行きたいものがあるというのだ。どんなところに連れていかれるのかをぼくは全く知らされていないけど、彼女の選んだ店に外れは無い。今のところはだけどね。

 

 

<人喜油飯地獄(ひとよろこばしあぶらめしのじごく)>

 ホテルを出て5分も歩かないうちに、赤い瓦屋根の建物が見えてくる。屋根の一番上の部分が弧を描きながら両端に向かって反っていて、日本の様式とは異なっている。赤に緑の色遣いは、ぼくに琉球の伝統的な建築を思い起こさせた。それこそがMRTの駅名にもなっている「行天宮」だ。

 

「行天宮の脇の方だよ」と、家人は先をスタスタと歩いて行く。民権東路に沿って赤い塀が長く続くが、それが切れたところで細い路地に入る。

「あ、これかな?これだ、これ!」と家人が近づいて行く先にあるのは一軒の屋台(露店?)。何ともシンプルにパラソル一本で勝負しているという、ストロングスタイルの屋台おばばが佇んでいる。阿梅油飯というらしい。

「ここの油飯が美味しいのよ」

早速、ぼくらは2人で1個の油飯を頂くことにする。おばばが、ササっとビニール袋に油飯とキムチを入れて手渡してくれる。お値段は25元(約92円)。

「美味いよ、これ!」と、ぼくが感嘆の声を上げながら振り向くと、家人はとても自慢げだ。一口食べると日本のおこわに近い感じ。細長いタイ米風のお米に旨みがたっぷり詰まっている。付け合わせのキムチは甘辛く感じたが、ピリピリとした辛さが後を引いた。ぼくらは油飯をあっという間に平らげた。パラソルの下のおばばに「美味しいよ!」と声を掛けようと思ったが、お客さんが次から次にやって来てその機会は得られなかった。やはり評判の店なんだろうと思う。家人のお店リサーチはここでも連勝記録を1つ伸ばすことに成功したのだ。 

f:id:fuku-taro:20190120081956j:plain

f:id:fuku-taro:20190120082223j:plain

f:id:fuku-taro:20190120082441j:plain

 「さあ、次に行くよ」

家人は食べ終わるとすぐに移動を始める。この朝に食べるべきものがもう一つあるという。ぼくらはMRT行天宮の駅から松江南京へ移動し、ここで松山新店線に乗り換えて北門駅へ向かった。

MRT北門駅は、台北最大の問屋街である迪化街(ディーホアジェ)の入り口にあたる駅だ。ぼくらは迪化街の事を「ユカガイ」呼んでいる。台湾語読みがなかなか覚えられず、毎回やって来ているにも関わらず「ユカガイ」で通している。

 

f:id:fuku-taro:20190126104233j:plain

f:id:fuku-taro:20190120083434j:plain

北門駅からしばらく歩くと「迪化街商圏」と書いた赤地に金文字の看板が見え、ここから先に進むと雰囲気は一気に問屋街に変わる。

「永楽布業商場」と書かれた大きな建物の前で家人は足を止め、「この中にあるんだけど」と言う。油飯1つを半分しか食べていないぼくのお腹はまだ満たされておらず、次の食べ物を待ちわびている。それは家人も同じようで、ぼくらは急ぎ足になりながら赤煉瓦の建物の中に進んで行った。

ビル内一階で、ひときわ人だかりの出来ている一角があり、人の立ち並ぶ向こうの奥に、天井から吊るされた扇形の看板が見えた。そこには「林合發油飯店」とあった。

「あ、あぶらめし・・!」

家人が選んだ朝食の二軒目は、またも油飯だったのだ。だけど、行天宮の露店とは少し様子が違う。油飯に乗っけるトッピングがいろいろとあるようだ。鶏もも肉、煮玉子、シイタケの煮つけなど。う、うまそうじゃないか。パートタイマーらしきご婦人方が、紙の弁当箱の中にテキパキと詰めていき、油飯鶏もも乗せ弁当が次々に出来上がってゆく。

ぼくらは鶏もも肉は遠慮して(まだまだ食べなくてはいけないものが沢山あるから、お腹を空けておくのだ)、油飯に煮玉子とシイタケの煮つけをトッピングしたものをオーダーした。

 

 

f:id:fuku-taro:20190120083558j:plain

f:id:fuku-taro:20190120083644j:plain

f:id:fuku-taro:20190120083813j:plain

f:id:fuku-taro:20190120083934j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084027j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084113j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084207j:plain

永楽布業商場ビルの前はちょっとした広場のようになっていて、そこの木陰になったベンチの上で、まだ暖かい油飯弁当を広げて早速頂くことにする。

「う、うまい・・・」

つい先ほど行天宮で生まれて初めて食べた油飯の感動を、この永楽市場の油飯は軽く超えて行った。細かく刻んだ豚肉、干しエビを炊き込んだここの油飯はとってもジューシーで、ちゃんとした料理という感じ。シイタケも煮玉子も台湾風の香辛料を感じる味付けなんだけど、これを嫌いな人は居ないんじゃないかといった味。なんというか、行天宮のものはおばちゃんの手作りで、こちらは料理人の一品という感じでしょうか。いやいや行天宮が不味いわけでは決してないわけで、それぞれに美味い。それから、油飯というけど油っぽい感じはなく、やっぱり日本のおこわに近い感じです。

「美味しーー」と家人も感嘆の声を上げます。こんなに美味いんなら鶏もも肉もトッピングすればよかったと残念に思います。

台北3日目の朝は、家人のチョイスによる油飯2連戦となりましたが、この戦いで2連勝を飾った家人の「選球眼」を褒めたたえたいと思うのでありました。食べ物屋選びで無敗の連勝記録を伸ばすことに成功した家人は、誇らしげな顔で油飯を堪能しているのでした。

f:id:fuku-taro:20190120084254j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084352j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084503j:plain

f:id:fuku-taro:20190120084618j:plain


つづく。