南風通信

あちこち 風のように

在台灣轉來轉去旅行②(たいわん うろうろ たび)

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【2018.8.19】 ②

<小窓の外の灯>

台湾に向かう飛行機に乗る時に、ぼくは、いつも読めもしない台湾語の新聞を手に取る。そして、漢字の羅列に目を流してゆくと、読めない事について「いいぞ、いいぞ」と思う。ぼくは、結構な活字中毒者なのだけど、ふと気が付くと、何かを読もうとしている自分がいる事がしばしばだ。文庫本、雑誌、新聞、パンフレットからチラシに至るまで、文字が書いてあるものを見つけると手にしようとしてしまう。

ところが、日本語が無い場所へ行くと、意味が分からないから当然文字を読まなくなってくる。そうすると、目線はやや上を向き、興味は目の前の出来事に移ってゆくではないか。外国に行って読めるものが無いというのは、なかなか良いことだ。子供の頃、まだ文字が読めなかった幼少期には、世界はとても広く、全てが好奇心の対象だった。そんな感覚に戻って行くのかな。だけど、台湾の言葉は漢字だし、連想ゲームのように何となく意味が想像できてしまうのだけど。

 

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飛行機が離陸してしばらくすると、CAのお姉さんたちが食事の準備を始めた。中華料理風の香辛料と味付けのチキンが乗ったご飯を食べ終わるとすることも無くなってしまう。

機内のTVモニターに流れる映像の中で、黒縁めがねの男が何かしゃべっている。男の顔がとてもアジア顔で、同じ東洋人でも日本人の顔とはずいぶん感じが違うなあ、などと思う。何故かぼくは、アジア的なものに郷愁と安堵を感じてしまう。やはり、遠い遠い先祖は、大陸から流れて来たんだろうなあ、と思う。

字幕を眺めてると、どうやら台湾では子供の虫歯が問題になっていて、その為の解決策を学校単位で行っているという事のようだ。内容は全体の一割から二割くらいしか分からないので、ちょうど良い塩梅だ。でも、もうちょっと面白いものを流してほしいよ。

そうこうしてるうちに、小さな、暗い窓の外に赤味のかかったな光が灯り始めた。

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<台湾時間の始まり>

桃園空港に到着すると、とても綺麗な日本語を話す張さんという青年が出迎えてくれた。

「タイワンハ ハジメテ デスカ?」

ぼくらが三度目です、と答えると「アア ジャア、モウベテランデスネ」と言って微笑んだ。

「イチオウ タイワンデノ チュウイテンヲ イッテオキマスネ」

と言うと、感じの良い笑顔の張さんはいくつかの「業務連絡のようなもの」を伝えてくれる。

①水道水は飲まない事 ②トイレに紙を流さない事 ③スリに注意する事

そして、ここ最近の気温から、これから一週間の天気予報などなど。

感じの良い笑顔を絶やさない、張さんのスムースな仕事ぶりには好感が持てる。今回の旅行は阪急交通社で申し込んだのだけど、高松空港での社員さんの対応も良かったし、些細な事だけど「阪急交通社いいぞ、いいぞ」と思った。

張さんに連れられて、人の混みあう通路を抜け、空港の建物を外に出ると、途端にむっとした熱気を帯びた空気に包まれた。多くの人の声が飛び交い、車のクラクションが鳴り合う。到着客を迎える車が列をなしている。夜になっても八月の台湾はとても暑いのだけど、今回はまだマシな感じがするのは、日本がそれ以上に暑いからだと思う。

迎えの車に乗り込み、空港から市街地に続く夜の高速道を走る。今日は日曜日で、時刻は午後九時を回っていたけど、街はまだまだザワザワしてる感じだ。どうも、台湾の人は宵っ張りのようだ。

市街地に入る頃、車窓に近づいてくる街の灯を見ていると、昨年の台湾旅行の感覚が蘇って来た。台湾の空気が体内に流れ込んでくる。そこでようやく、時差に合わせて腕時計を1時間遅らせた。

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ホテルにチェックインすると、ぼくらは荷物も解かずに再びホテルを出ることにした。ぼくも家人も、早く台北の街を歩きたくて仕方ないのだ。といってもぼくらには行くべき当てもなく、結局、近くのセブンイレブンへ吸い込まれた。

家人は「これが飲みたかったー」と、前回の旅行でお気に入りだったミルクティーを購入。これは「純萃。喝(ジュンスイホ)」というもので、程よく甘くて、すっきりしていて美味しい。ボトルがお洒落なのも良いと思う。そしてぼくは台湾ビールを。

ホテルに戻り、TVをつけると「誰是大歌神」というバラエティ番組をやっていたので、ぼうっと眺める。どうやら、歌を競う勝ち抜けトーナメントのようなものらしい。台湾のTVバラエティは日本のものより、ドタバタ感があって情感豊かで好ましい。今も、画面の中で歌い終わった青年が、一生懸命に何かを訴えている。字幕でなんとなく分かるのだが、どうも歌の師匠がいたんだけど、亡くなってしまい、今の自分があるのは師匠のお陰だ。この番組で師匠に恩返しをしたいのだ、というようなことらしい(たぶん)。もらい泣きするゲストたち。ぼくは台湾のTVを眺めるのが好きだ。

TVの画面を眺めながら、薄くて不味い台湾ビールを飲むと、ああ、台北に来たんだなあ、と心から思えるのだった。

 

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つづく