南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

在台灣轉來轉去旅行①(たいわん うろうろ たび)

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【2018.8.19】①

 

<台湾が呼んでいる>

今年も台湾へ行くことになった。

夏休みが取れれば、近場でゆっくり体を休めたいなあと思うのだけど、一方で年に一度くらいは海外に行きたいなあとも思う。日本語の通じない場所へ行くのはとても心地よいのだ。

ぼくは今まで、二度、海外旅行行った事がある。そして、その二回ともが台湾旅行なのです。どうやら台湾とぼくの相性は良いようで、滞在中は体を休めるどころかウロウロと台北の街を歩き回り、パチパチと写真を撮りまくるのに、逆に元気が湧き出してくる。日々の仕事で消耗してくると、あの香辛料の八角のような独特の匂いがしてくる街並みを歩きたくなってくる。

家人は若い頃に一年半くらいカナダに暮らしたことがあり、超が付くくらいの「カナダ愛」を持っている(もしくはカナダ馬鹿)。英語会話もそれなりにこなしてしまうので海外旅行の場面では随分頼りになる。海外でぼくは家人に「おんぶにだっこ」だ。そんな状況が最初は楽しくなかったのだが、最近は楽だと思うようになっていた。これはこれでまあいいか。

家人は本当はカナダに行きたいのだろう。でも、現状、我が家の身の丈は台湾なのだ。でも、結局、大いに楽しみにしているようだ。それは、彼女の愛用の濃い茶色のトラベラーズノートを見れば分かる。そのノートには、何冊もの「台湾本」を読み込んで得た情報がびっしりと書き込まれており、ページから飛び出した沢山の付箋でエリア毎に並べられてある。なんてアナログなのだろう。そう、ぼくらは断然アナログ派だ。

 

2018年の夏は記録的な猛暑だった。それは、実際のところ「記録的な猛暑」などと表現するのも億劫なほどに暑かった。2018年の夏は、「アヂーアヂー、アアア、アヂイーーーー」こんな感じの夏だったのだ。

高知道を高速バスで走り、高松空港を目指す。この日も最高気温は30度を超えたが、よさこい祭りを終えた高知市はどこか夏の盛りを過ぎたように思えた。バスの窓外に広がる、何とも分かりやすい真っ青な青空に、刷毛で描いたような薄い雲が白く走っている。それは、つい先週までの真夏の空とは違って見えた。

 

<雲行きが怪しくなる>

19時05分発の台北行きの航空機を待つ高松空港で、ちょっとした事件があった。それは事件というには、とても些細な事だったんだけど。

たぶん60代前半から70歳くらいまでのリタイヤ組の元気なおじさん達のグループが、同じ搭乗待ちのロビーで談笑していた。10人くらいのおじさんは、皆、申し合わせて集合したかのように上下ゴルフウエアーで揃えてあって、キャップを手にした人もあったりして、ぼくはゴルフ場のクラブハウスに紛れ込んでしまったかのような錯覚に陥りそうになる。

きっと会社のOB達が、同僚先輩後輩で集まって旅行でもしようというような話になったのではないかと思われる。おじさん達はそれぞれに少年のような顔をして、馬鹿げたことを言い合いながら、とても楽しそうであった。まるで修学旅行のようだ。

しかし、大きな声で、会話の内容が周囲に丸聞こえになるのは困りものだ。どうやら、ぼくらと同便で台北まで行き、そこから乗り換えてバンコクに行くらしい。そこで7日間、存分にゴルフ三昧を決め込み、夜は現地の女の子たちとお遊びの様子・・・。いやいや、少し声が大きいですよ、先輩。ほら、家人の顔色が変わって来た。家人はこういったおじさんの「お遊び」に露骨に嫌悪感を現すのです。いやね、誤解を恐れずに言ってしまえば、ぼくは、こういった光景を肯定も否定もしないんですよ。少し隙だらけだけど善良そうで、子供のように楽しそうなおじさん達を見てると、無茶をしない程度の常識的な楽しみを取り上げるのもどうかと・・・。ともあれ、家人が不機嫌になると旅の雲行きが怪しくなる。先輩方、どうか、もう少し小さな声でお願いしますよ。それと、先輩方が現役の頃とはご時世が違うので、いろいろとご注意くださいね。不機嫌そうな家人の横顔を目の端に見ながら、ぼくは心の中でそう思った。

 

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つづく