南風通信

みなみかぜつうしん あちこち 風のように

四国バースデイ・フリー切符の旅 ⑨

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2017.7.9

内子08:36発ー宇和島09:30着

 

<早朝の内子町のカメラ散歩>

 

旅先の宿では、いつも目覚ましのアラームが鳴る前に起きてしまいます。荷物を背負って列車以外は歩いてばかりの旅は、3日目になれば疲れも感じます。しかし、知らない土地で目覚める事による高揚感は体にのしかかる疲労に勝るようです。旅の3日目。愛媛県の山間の小さな町、内子町の旅館の布団の中で目覚めると、まだ4時半を少し回ったところでした。

窓の外を眺めると、小さな街並みが朝の静けさの中に佇んでいます。昨日の夜市のささやかな喧噪は、それが昨夜あったという気配もなく、この町本来の穏やかな朝の表情を見せています。

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部屋を出ると旅館の中はしんとしていて、人の起きている気配がありません。玄関に行くと鍵はまだ掛ったままで、外に出る事はできませんでした。

フリー切符の旅も今日が最終日です。今日中に高知に戻らなければならないのですが、途中、面白い酒屋のある土佐大正駅で寄り道をしようか、それとも、カツオ漁の漁港のある土佐久礼駅に降りる時間はあるだろうかと、最終日の楽しみをあれこれ考えます。時刻表を読み込んでいくと、遅くとも8時36分の列車で内子を発たなければならないようなのです。それまでに、近年観光地としても人気の内子町の古い街並みをを歩いてみたい。ようやく旅館の玄関が開いたのは、6時を少し回った頃でした。

 

宿のすぐ近くにあるこの町のシンボル的建築物「内子座」は、大正天皇の即位を祝い創建されたという100年以上続く現役の芝居小屋です。毎年8月には文楽の定期公演を行っていて、普段は芸術文化活動の拠点となっているそうです。木造の建物の中には木の枠で区切られた升席が並んでいて、日本の伝統的な芝居小屋の様式を見学する事が出来ますし、なんと、舞台に上がる事も出来るのだとか。舞台に上ってみたい!と、思ったりするのですが、営業時間は午前9時から。8時36分の列車で発たなければらないので、仕方なく諦めます。中に入ってみたかった。

以下、内子町カメラ散歩の様子です。駆け足で回ったので、古い街並みの保護地区をゆっくり回る事も出来ませんでした。なにせ、まだ7時前です。町全体が眠い目をこすっているような時間の町の様子です。

 

 

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   「旭館」という古い映画館。今でもやっているのだろうか。

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<旅館 松乃屋の女将のはなし>

 

宿を出る前に朝食の時間を女将さんに伝えてあったので、戻ってからすぐに朝食を頂きました。昨夜の夕食も品数が多くどれも美味しかったのですが、朝食もまたすごく充実しています。これで宿代が1万円台前半は驚きです。

まだ他の宿泊客は食堂に降りてきません。女将さんと何となく会話します。

ここは料理長でもある今のご主人で5代目となる、150年続く宿屋なんだそうです。時代の流れでビジネスホテルに転じたこともあったけど、内子町が観光化してゆく流れを見て、建物を和風に改装して今の形になったとか。

「うちはお風呂も小さいでしょう? だから主人が言うんです。お客さんに、設備ではなくて料理で喜んでもらおうって」

そうなんだ。確かに昨夜の夕食も、この朝食も、頂いていると幸せになってゆくようなものでした。でも、それは、この宿の信念のようなおもてなしだったのですね。美味しかったです。ご馳走様でした。

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 さあ、短い滞在だった内子町ともお別れの時間です。

駅前のSLの脇を抜けて駅に入り、高架になったホームに立ちます。列車を待つ人は、ぼくを入れて3人のみ。そう遠くない山に沿って低い雲なのか、霧なのかが流れていきます。そのゆったりとした動きを眺めていると、なんだか気分も速度を合わせてゆったりと流れてゆきます。もうすぐ宇和島行きの列車がやってきそうです。

 

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つづく