2017.7.8
今治11:35発ー松山12:10着
今治のお国言葉は少しぶっきらぼうだ。そして、ぼくの故郷のそれにどこか似ている。
今治中央警察署に向かうタクシーの中で、高知から来たと伝えたぼくに女性の運転手が言う。
「今治は石鎚山のお陰で台風も避けて通るで。高知は被害があらあねえ」
夏の台風の話題。今治は四国で一番、更に、近畿以西の西日本で一番高い山、石鎚山に守られているというのだ。
「スマホを失くしたの?今度は忘れんようにでねえ。一回忘れたらもう忘れんねえ」
たった一泊であったが、出会った数少ない今治人は、どこかぶっきらぼうだけど人情深いというか。ぼくは今治の人にそんな印象をもった。
前回の続きです。
<今治、スマホの顛末>
8時20分。少し遅めの起床。昨日は荷物とカメラを抱えて、一日中歩いたので疲れていたようです。疲れていたのと、ホテルのエアコンが効き過ぎなかったのとでぐっすり眠りました。
食堂に行き、ぼんやりした頭で、愛媛の名産みかんジュースを飲みながら考えます。「とにかく昨夜失くしたスマホを探さなきゃなあ」
「明日は明日の風が吹く」は、昨夜の話。さあて今日の風向きはどっちだ?
まあまあ、腹が減っては戦が出来ぬと言うじゃないですか。まずは、高くない宿泊料金の割に、充実の朝食をしっかりと頂きました。満足。ご馳走様でした。
フロントの女性にもらった地図の上に、交番の位置をマークしてもらいました。それほど遠くはなさそう。
ホテルのチェックアウトは11時です。急がねば。JR高架下にある、今治警察署駅前交番に到着しました。
ガラスのはまった引き戸の向こうに、人の気配はありません。戸を開けて「すみませーん。こんにちはー」と声をかけますが、反応なし。こりゃ困ったぞ。時間無いのに。
入口脇の外壁にインターホンがありました。インターホンに向かって呼びかけますが、やはり反応なし。うーん、困った。何で誰もいないの?
じりじりとしていると、奥の方で物音がします。しばらくして「はーい」の声。やがて、50代後半と思われる柔和な感じの男性のお巡りさんがゆっくりと現れました。話し口調が朴訥として、少し癒し系のお巡りさん。書類を作成し、遺失物届を提出します。その後、アチコチ連絡してくれたところ、中央署に拾得物として届いているとの事!
お礼を言って、急いで向かいます。
出がけに、癒し系お巡りさんが声をかけてくれます。
「ええ、お気をつけて。ええ、どうぞ。」
高圧的でない穏やかなお巡りさん。ぼくは好きですよ。ええ。
こうして、今治中央署で無事スマホは戻ってきました。中央署の方が言われるには、拾われた方が「失くした人が困ってるだろうから早く届けよう」と昨夜のうちに届けてくれたそうでした。そして「お礼はいりません」と言われたとの事。今治の人の優しさに触れたようです。今治に感謝。11時ぎりぎりでホテルをチェックアウトし、バタバタと「善き街」今治を発ちます。そして、旅は続きます。
つづく。