南風通信

あちこち 風のように

台灣晃蕩旅行①(たいわん ぶらぶら たび)

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<2017.8.20>

嫁と台湾旅行へ出かける事にした。

嫁は若い頃からアチコチ海外へ出かけていて、ぼくからすればとても旅慣れた人なのだ。20代の頃にはワーホリでカナダに一年半ほど住んでいて、英会話も日常生活がこなせるくらいには話してしまう。

ぼくらはお互いに「我」が強いのだが、それでも我慢したり、我慢させたりしながら、それなりにバランスを保って楽しく暮らしていると思う。

しかし、その絶妙のバランスが緩やかに傾斜し、嫁の主導権が強くなってゆくのが海外旅行の時なのだ。

旅慣れた彼女は、旅行に関する様々な手続きをテキパキとこなし、一か月も前から数冊の「台湾本」やネットを駆使し情報収集に余念がない。

 

「この場所行ってみたくない?」「わぁ、これメチャクチャ美味しそうじゃない?」

仕事から帰ったぼくにそう言って雑誌のページを差し出す。

「あーいいねえ」「わー美味しそうだねー」そう答えながら密かに思う。

 

やれやれ、また始まった。

 

嫁の海外旅行に対する情熱はすごい。主導権争いは行われることなく、ぼくの意見は耳をすり抜けながら、彼女の手の中で旅行プランは着実に出来上がりつつあるようだ。

しかしなのだ。彼女の旅行プランは結構楽しめて快適だという事も事実なのである。ぼくは今回ものんびりしよう。それはそれでありがたい。

 

出発当日。高知市の自宅から高松空港へ向かう。万事、しっかり者の嫁は時間に余裕を持って行動する。ぼくはその辺テキトーだ。でも、今までそれで何とかなってきている。

しかし、いくらなんでも、3時間前に空港に着くことはないだろうと思う。

嫁は、しっかり者なのか天然なのか時々分からなくなる。

搭乗手続きを終え、空港内の土産物屋なども覗いて一回りすると、もうすることが無くなってしまった。

高校野球のテレビ中継をぼんやりながめてやり過ごす。

 

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 定刻を30分ほど遅れて飛行機は台北へ向けて離陸した。

地方空港からの飛ぶのは小さな機体の飛行機。機内の設備がシンプルだけどそれはそれ。快適だ。

機内食は「ポーク」か「チキン」の選択。ぼくはチキンを選んだ。一口食べると、あの「台湾の風味」が広がる。

うーん、台湾へ行くのだなぁ。そう思う。ぼくは台湾の食べ物のあの独特の風味が大好きなのだ。旅行に備えて(たくさん食べる事前提)ダイエットに挑戦したが、見事に失敗した。

向こうに着いたら、いろいろ食べたい・・・けど・・・。

健康の事も気になるお年頃なのです。

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機内にあった台湾の新聞を読めもしないのに眺めていると、台湾ではユニバーシアードが開催され盛り上がっているようだ。日本でもユニバーシアードが開催された事があった。大会がメディアを賑わしていたのはいつ頃のことだったろうか。もう随分昔の事に思える。台湾は「いつかの日本」のように思う。

そんな事を考えていると、小さな窓から夜景が見え始める。いよいよなのだ。

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現地時間で21時過ぎに到着。

今回ぼくらは全てフリーの3泊5日のツアーに申し込んだ。 空港の到着口には手書きの様々な言語のボード手にした人達が並んで目を凝らしている。

20代半ばくらいの女性スタッフに連れられて、ぼくら3組6人の日本人がぞろぞろと空港から外へ向かう。建物の外へ出ると、濃厚な湿気をたっぷり含んだ夜の空気が、「むう」と迫ってきた。台風が接近しているらしい。

ぼくらが口々に「暑い、暑い」と言いながら手で顔を扇いだりしていると、ガイドの女の子が言う「キョウハ ニッチュウ 38ド デシタ」

「うわあ」という声が集団から同時に上がる。

「タイナンハ 40ド デス」

「ええぇー」「ふうぅ・・」溜息しか出ない。

もう一人の金髪の女の子が運転するワゴンに全員で乗り込み、それぞれホテルへ送ってもらう。この辺はツアーの楽なところ。

ワゴンは夜の高速を走る。時間にしては交通量は多いような気がする。そういえば以前、台北に来た時に思ったのだが、台北市民は宵っ張りだったような印象がある。

高速道路が台北の中心街に差しかかる頃、車窓の奥のビルの並ぶ景色の中に台北101の姿が浮かんだ。でも暗くてよく見えない。薄い影のように浮かんでいる。

車窓のガラスに顔を近づけた。台北101を見ようと、流れて行く背の高い影を追いかけて諦めた。

明日、明るくなってからゆっくり見ればいいや。

ぼくは、窓ガラスから顔を離してシートにゆっくりと背を沈めた。

車は順調に高速道路を進んでゆく。市街はもうすぐだ。

エンジン音が低く響く車内に、金髪の運転手と現地ガイドの二人が台湾語で話しているのが聞こえる。ぼくには何を会話しているのか分からない。それが心地よい。

もう一度、車窓の外へ目を向けた。夜の街並みを眺める。ようやく台北へやって来た実感が湧いてくるのだった。